飲み込みが早い人 ほど上達しない傾向があると感じているボイストレーナーは多いと思います。
それは上手くなってきて、成長のスピードが鈍化してきたというものとは全く違う類のものです。
そこには多くの飲み込みが早い人が陥ってしまっている、将来的な上達を阻害する落とし穴があります。
その落とし穴に気がつき、マインドを変えることによって十分改善させることができます。
飲み込みが早いことを才能と捉える方は多いんじゃないでしょうか?
結論から言って、それは才能とは別次元の話。
バカの壁などで有名な養老孟司氏も数々の著書で言及していますが、才能の根本は生まれ持った身体です。
この理論には僕も激しく同意します。
例えば、身長が高い人は身長が低い人に比べ、首が長い上に喉頭も大きく、声道も広い傾向があるので、身体的に大きな共鳴腔を作ることができます。
これによって、深い低音を出すことができます。
この理論だけで話すと、バスケの八村塁選手と歌手の西川貴教さんの話し声の違いを聞けば明らかです。
その他にも口の大きさや、声帯の長さなどの細かい部分も影響し、歌いやすい身体とそうでない身体とが分かれてきます。
音楽の場合、飲み込みの早さには聴覚が絡んできます。
聴覚などの神経は、後天的に発達していくことはあまり知られていません。絶対音感もその類です。
聴覚の神経発達は後天的という理論がある以上、飲み込みの早さを才能という部類に位置付けすることができません。
飲み込みの早さは後天的な能力なので、本当に大切なのは何を積み重ねるかです。
生まれ持った身体という才能だけがあったとしても、それを磨かなければ存在しないも同然です。
その積み重ねは、普段行っている何気ない遊びや習慣に隠されていることがあります。
遊び感覚や習慣なので、その殆どが上手くなろうと練習するという意識さえもない可能性が高いです。
飲み込みが早い人は、何を積み重ねて飲み込みが早くなったのか、そして何が原因で上達しないのかを掘り下げていきましょう。
マネが上手い
飲み込みが早い人は、まず何よりマネが上手です。
そこには、マネが上手くなるまでの積み重ねがあるんですね。
こう言った方々の殆どは、幼児期からふざけて奇声をあげたり、ゲームやアニメ内の特徴的な声を持ったキャラクターのモノマネをしたりと、色々な音色を出すことに慣れ親しんだ人たちです。
レッスンの中で「こんなふうにやるんだよ」とこちらがデモンストレーションをするとすぐに出来ます。
このすぐに出来るというのが落とし穴なんです。
しっかり練習しない
すぐに出来るようになる人が上達しない理由はこれに尽きます。
先に述べた通り、遊び感覚や習慣なので、上達を目的に練習する概念を持たずに飲み込みが早くなったことが大きな原因でしょう。
長所を伸ばしたり、課題を克服するために練習するというよりも、歌うのが好きでただ歌っているという感覚です。(好きで歌う感覚はとても大切ですが、上達のための練習がトピックですので、切り離して考えましょう。)
レッスンで出来た=身につけた、では断じてありません。
出来た感覚を定着させて技術にし、さらに向上させるには反復練習が必要不可欠です。
「僕も出来なかったんですが出来るようになったんで、皆さん安心してください!」というボイストレーナーをたまに見かけますが、このセンテンスには重要なことが抜け落ちています。
レッスンでは、再現性を持って出来なかったけれど、自主練して身に付けたという多少不器用な方ほど上達していく率は高いです。
これを読んでいる技術が定着しない方は、今一度、しっかり練習出来ているかを確認してください。
①才能とは身体
②何をどう積み重ねるか
- マネが上手い
- しっかり練習しない
言うまでもなく、飲み込みが早く、しっかり練習する人もいますけどね。
当たり前な言い方ですが、しっかり練習することを習慣にしていきましょう!
才能とは身体
大切なのは積み重ね
まとめ