努力性呼吸 に陥っている方は、歌唱地に以下のような悩みを抱えている事が多いです。
- 歌った後に疲労感がある
- 喉にすごく力が入って思うように歌えない
- 息が長く続かない
努力性呼吸(特に吸気)を改善し、呼吸筋の機能を回復していきましょう。
- 安静時呼吸
- 横隔膜の役割
- 外肋間筋の役割
- 努力性呼吸
- 横隔膜の機能確認方法と機能回復訓練
- 外肋間筋の機能確認方法と機能回復訓練
- 力いっぱい吸わない
- まとめ
安静時呼吸の吸気時に使用するメインの筋肉2種類の位置や働きについて少し触れたいと思います。
横隔膜の役割
赤い部分が横隔膜で紫の部分が肺です。
横隔膜は写真のようにドーム状の形をしています。
収縮すると頂上部の腱中心という部分が下がり、ドーム状の部分が下がります。
胸郭が広がり胸腔の内圧が下がることによって、肺が下に引っ張られ膨らみます。
この肺が下に引っ張られるように膨らむことで吸気が起こり、空気が入り込んできます。
一般的には、腹式呼吸と言われていますね。
外肋間筋
外肋間筋は肋骨を挙上(持ち上げる)働きを担っています。
胸郭の大部分は肋骨で構成されているので、外肋間筋は胸郭を持ち上げるという事が言えますね。
胸郭が挙上することによって肺の容積が増大して吸気が起こり、空気が入り込んできます。
こちら、一般的には、胸式呼吸と呼ばれていますね。
横隔膜と外肋間筋が元の位置に戻ることで呼気(息を吐く)が起こります。
その方がしっかり呼吸を出来ているかを判断する上で、僕が重要視しているのが努力性呼吸になっていないか?ということ。
胸郭が凝り固まってしまったり、左右非対称に歪んでしまって、先述したメインの呼吸筋である横隔膜と外肋間筋が正常に機能しなくなってしまうんですね。
メインの呼吸筋が正常に機能しない場合は、下記の呼吸補助筋が介入してきます。
この呼吸補助筋が発動すると努力性呼吸が起こります。
吸気時に介入してくる呼吸補助筋の代表格
- 胸鎖乳突筋
- 斜角筋群
吸気時に上記のような使う必要のない筋肉を使うことによって、余計なエネルギーを消費することになるので、歌唱時に疲労を感じやすいです。
また、歌唱時の過緊張の原因となります。
歌唱時に厄介になる努力性呼吸を打破し、呼吸筋の機能の回復を試みましょう。
横隔膜の機能確認方法と機能回復訓練
胸郭が凝り固まったり、歪んでいたりいたりすることで、横隔膜の機能が低下してしまいます。
写真のように、みぞおちの部分を押して、硬かったり痛かったりする人は横隔膜の可動域が狭く、十分に機能しているとは言えない状態になっています。
この症状は、猫背の方に多いですね。
思い当たる場合は、横隔膜の機能回復が必要になってきます。
横隔膜の機能回復訓練の実践は動画の3:18からです。
外肋間筋の機能確認方法と機能回復訓練
まずは肋骨を写真のように鷲掴みにしてみましょう。
その状態で呼吸をしてみて、胸郭が挙上する動き(動画の5:14あたり)があるのを確認することができれば、外肋間筋が正常に作動しているでしょう。
逆に全く動かなかったり、動きが非常に小さい場合は、写真のような肋間筋ストレッチをお勧めします。
肋間筋をストレッチしながら息を吸ってみると、伸ばしている部分がパンパンに張ってくるのがわかるかと思います。
肋間筋が呼吸によって動いているという意識がしっかりできるとGoodです。
歌唱時に首と頭が前に出て力んでしまうのを防ぐために、背筋をしっかり伸ばさせる人がいますが、その場しのぎの対処療法ですし、外肋間筋は背面まで続いていて、背筋を伸ばしすぎることによって機能が低下して呼吸の質が下がるので、僕はおすすめしません。(丁度いいポジションって難しい)
力いっぱい吸わない
急いでより沢山の酸素を取り込もうとして力いっぱい吸ってしまうと、努力性呼吸になりやすいと言うよりなります。
これに関しては、意識の問題なので横隔膜と外肋間筋の機能回復を試みながら意識改善に取り組みましょう。
姿勢の悪さなどが原因で、横隔膜と外肋間筋の機能が低下して胸郭が凝り固まってしまうんですね。
それにより、吸気時の呼吸補助筋である胸鎖乳突筋や斜角筋群が介入してしまい、努力性呼吸に陥ってしまいます。
横隔膜と外肋間筋の機能を確認し、回復させることが歌唱における呼吸の第一歩だと僕は思います。