- 歌が平坦
- 歌がどこか子供っぽい
- 歌に抑揚がない
あなたはそんな悩みを持っているんじゃないでしょうか?
「一口に抑揚と言っても漠然とした定義すぎて改善方法が分からない!」という方に抑揚の要素1つ1つに着目して解説し改善法をお届けします。
今回もボイトレとは違う角度で攻めていきましょう。
- 抑揚の要素
- 有声音と無声音
- 無声子音
- 無声子音に挟まれた母音のiとuは無声音になるケース
- 無声子音に続く母音のiとuが語句の最後にくるケース
- 歌唱中に使う場合
- 発音の立ち上がりが遅い
- 小さく聞こえる
- まとめ
「ん」の重要性を語ったの記事と被ってはしまうのですが、おさらいをします。
もう知ってるぜ!と言う方は飛ばしてもいいです。
カッコいい歌には抑揚がありまして、抑揚の要素を挙げると
- ダイナミクス
- 音色
- アクセント
- 曖昧母音や二重母音
- 「ん」をフレーズにぶち込む
- 有声音と無声音をしっかり使い分ける
- etc.
この中で僕がフレージングを指導する中で重要視している、有声音と無声音の使い分けについて今回は解説させていただきます。
有声音と無声音の違いを簡単に言えば
発音した際に声帯が振動するかしないかの違い
もっと簡単に言えば
発音すると同時に声が鳴るかならないかの違い
はて?となる方が多いと思いますし、どんな発音でも声はなるじゃねーか!となりますよね。
しかし、普段の生活の中では気が付かないところで、発音した瞬間に声が鳴らないパターンもあるのです。
例えば「あー」と発声しながら喉を触って見てください。
手に振動が伝わるのを確認できるかと思います。
今度は内緒話をしたり、静かにしてほしい時に使う「しー」と言いながら喉に手を当ててみましょう。
喉が振動していないのが分かりますね。
無声音のコントロールの方が重要なのでこちらから説明します。
無声子音とは、子音を発音した時に声帯が振動しないものです。
日本語で無声音化できる子音は
- K(日本語でいうカ行)
- Ky(キャ、キュ、キェ、キョ)
- S(サ、ス、セ、ソ)
- Sh(シャ、シ、シュ、シェ、ショ)
- T (タ、テ、ト)
- Ts(ツァ、ツィ、ツ、ツェ、ツォ)
- Ch(チャ、チ、チュ、チェ、チョ)
- H(日本語でいうハ行)
- Hy(ヒャ、ヒュ、ヒェ、ヒョ)
- P(パ行)
- py(ピャ、ピュ、ピェ、ピョ)
すごく大雑把に言えば、濁点がつかないものです。
これらの無声子音を使うと、どのような効果があるのか?
ここがこの記事で一番大切なポイントです。
無声化のルールを2つ紹介します。
無声子音に挟まれた母音のiとuは無声音で発声
キャプテンという単語の発音を例に。
キャプテンをローマ字表記にした場合「kyaputen」となります。
この場合、無声化できる子音のpとtに囲まれた母音のuは、無声化するというルールが発動されます。
何だかいけないイニシャルトークみたいになりましたが、
参考音源①の方は、感覚としてはpの発音だけするという形となります。
Pを発音した瞬間に声が聞こえなくなるので、何か少しストーンと落ちるような聞こえになります。
参考音源②は明らかにプの部分が重たくのっぺりとしていますね。
他にも上げれば無数に存在します(赤文字が無声化される母音)
タクシー(takushi)
白菜(hakusai)
たけし君(takeshikun)
無声子音に続く母音のiとuが語句の最後にある場合
これはもう日常的に使っています。
〜です。(desu)
〜ます。(masu)
するべき。(surubeki)
「ですー」や「ますー」のように伸ばさなければ基本的に無声化される代表例です。
歌に無声音を入れようとすると、少し事情が変わってきます。
歌い手によってアとエの間の母音など、曖昧に発音したりすることがポピュラーミュージックでは多いので、それを駆使していくとフレーズの表情がかなり変わるのです。
実際に、I Love/Official髭男dismの冒頭の歌詞を使って説明しますね。
ぼくが みつめる けしきの そのなかに きみがはいってから かわリはてたせかいは bok(u)ga mitsumeru kesh(i)ki no s(o)nonak(a)ni kimigahaitt(e)kara K(a)warihatetasekaiwa
上のように少々ルールを無視して無声化を試みてみましょう。
青文字の部分のみが無声子音に挟まれたiとuの母音は無声化されるというルールに沿っています。
それ以外の赤文字の部分は、少し母音をuに寄せて曖昧にしました。
母音をuに寄せて曖昧にすることで、歌唱中にどんな効果が得られるのでしょうか?
発声の立ち上がりが遅い
iとuの母音は、無声子音と組み合わせると発声自体が遅くなります。
子音の発音が先に聞こえ、後から母音の発声が遅れてくるという現象が起きやすくなるということです。
子音の発音が一瞬だと、声が出る前、もしくは声がで初めてまだ小さいうちに次の発音に移行するので、結果的に子音の発音が強調され、メリハリが生まれます。
小さく聞こえる
a,o,eに比べてi,uの母音は、無声子音と組み合わせた場合、小さく聞こえます。
それにより、無声子音+iかu(もしくは、その他の母音をiかuに寄せて曖昧にした母音)は流れの中で、聞こえにくくなります。
聞こえにくくなることによって、一瞬だけフレーズのその部分だけ沈んだように、落ちたような表現になり、メリハリが生まれます。
まとめ
無声化のルールと、無声子音+uに寄せて曖昧にしたa,e,oを駆使することによって、子音を際立たせたり、落ちるようなアクセントを生み出す効果が得られます。
沢山のアーティストが無意識に取り入れている技術なので、この知識を持ったことによって曲の聴き方が変わり、歌い方も変わるかと思います。
是非取り入れて見てください。