歌が上手い人がやっている技術 「ん」の持つ偉大な機能(動画&音声付き)

  • 歌が平坦
  • 歌がどこか子供っぽい
  • 歌に抑揚がない

あなたはそんな悩みを持っているんじゃないでしょうか?

「一口に抑揚と言っても漠然とした定義すぎて改善方法が分からない!」という方に抑揚の要素1つ1つに着目して解説し改善法をお届けします。

「この人の歌めっちゃいい!」

感じるのはどんな時ですか?

もちろんそこには、声の良し悪しは確実に関係してくると思いますが、

高い声が出る、声量半端ないなどの発声由来のものが与える印象が占める割合ってそんなに高くないと思うんですよ。

ジャンルや人によって歌い方も違いますし、人それぞれの好みという価値観も加わってくるので難しいトピックではあります。

しかしカッコいいと感じる歌にも振れ幅はあれど、基準があるのは確かです。

その歌の上手さや、かっこよさの基準を満たすための技術の1つをご紹介します。

カッコいい歌とカッコ悪い歌の違い

近年は、歌が上手かったり、カッコ良かったりするアーティストが増えてきていて嬉しい限りです。

端的に言えばカッコ悪い歌は平坦です。

カッコいい歌との違いは、抑揚という言葉1つで片付けられてしまいがちですが、様々な要素があります。

  • ダイナミクス
  • 音色
  • アクセント
  • 発音の純化と崩し方
  • 「ん」をフレーズにぶち込む
  • etc.

どれも重要ですが、上げたらキリがないので、ここではその中でも僕が最重要視している「ん」が持つ機能を解説します。

「ん」が持つ機能

結果から言うと「ん」をある部分に入れると平坦な歌のフレーズとノリが立体的になります。

僕のレッスンを受けてことがある方は分かるかと思いますが、僕が歌唱指導をする上で特に口すっぱくいっている部分です。

発声は定着させるのに一定の期間が必要な場合がありますが、

この技術は、定着させることも大切ですが、知っているだけで歌唱の練習の質が飛躍的に上がりますので皆さん、

絶対に覚えて欲しいです

文字だけではわからないので今回は、曲の一節を使って解説しましょう。

ドライフラワー/優里を使って解説

最近レッスンでも大人気のこちらの曲を使用します。

もはや彼は、飛ぶ鳥を落としきった感もあります。

何人かの生徒さんにレッスンしてみて、ほとんどの方のサビの中のこの一節の歌い方が気になりました。

ドライフラワーみたい君との日々も

すごく短いですが、この部分をワザと平坦に歌ってみます。

【参考音源①ワザと平坦に歌ったドライフラワーのサビ】

抑揚のかけらもない平坦の極みです。

平坦というよりやる気がない。

印象に残らない歌いましたが、逆に印象に残りそう。

逆に難しくて歌いにくい。

わかり易く違いを感じていただくには十分な音源かと思います。

ひらがなにすると

どらーいふーらわーみーたーい

きみーとのーひーびもー

上記の平仮名の歌詞の中に「ん」を2箇所に加えます


【参考音源②「ん」を加えてノリが立体的になったドライフラワーのサビ】

どこに「ん」が入ったか分かりましたか?

どらーいふーらわーみーたーい

きーみとのーひーび

かなり印象が変わった変わりましたね。

フレーズもノリも立体的になりました。

歌うこっちもやる気が出てきます。

実は「ん」を入れる以外にも施したテクニックがあるのですが、ここでは「ん」を入れることに特化した説明をしたいので、他のテクニックは別の記事で紹介します。

奏/スキマスイッチを使ってまた解説

他の歌でも使えるのか試してみましょう。

今回は、世代を超えて愛される曲

ドライフラワーより今回は長めで、サビを全部歌います。

こちらも歌詞をひらがなにして。

きみがーおとーなにーなああてく そのーきセーつがー

かなしーうたーであーふーれーれないよーにー

さいごーになーにかー きみいいにつたーえたーくてー

さーよなーらにーかわーるこーとばーをー 

ぼくはーさがしてたー

【参考音源③わざと平坦に歌った奏のサビ】

安定の平坦さとやる気のなさが逆に印象的ですね。

この人は常にこんな歌い方をする人と印象を持たれないように、ここでも「ん」を駆使していきましょう


【参考音源④「ん」を駆使した奏のサビ】

きみがーおとーなにーなああてく そのーきせーつがー

かなしーうたーであふれーれないよーにー

さいごーになーにかー きみいいにつたーえたーくてー

さーよなーらにーかわーるこーとばーをー 

ぼくはーさがしてたー

こちらもガラッと印象が変わりました。

ドライフラワーよりも「ん」の数が多いですね。

僕はやはりフレーズが立体化するという表現を使うのですが、いかがでしょう?

「ん」を使った部分はフレーズが少し潜った様な、沈んだ様な印象を与えてくれます。

以上の2曲のどこに「ん」が入るのかを考察してみましょう。

実は、ある程度の法則があります。

「ん」はどこに入るの

結論から書くと、「ん」はナ行とマ行の前に入れると参考音源③と④の様な変化を生むことができる傾向があります。

歌が上手だったりカッコよく聴こえる人は、大小あれどこの技術を駆使している方が多い気がします。

では、何故マ行とナ行の前に入りやすいのか?

鼻音

マ行とナ行は鼻音というカテゴリーに分類されます。

発音の際に鼻腔という鼻の奥につながっている管に空気が流れることによって発音可能になるのが鼻音。

鼻をつまみながら発音してみると、変な発音になりますね。

風邪を引いて鼻が詰まった時に、ナ行の発音が「ダ・ディ・ドゥ・デ・ド」の様になる経験をした人は多いと思います。これは鼻に空気を流すことができなくなることで起こります。

【参考音源⑤風邪ひいた時のナ行(ダ・ディ・ドゥ・デ・ド)】

そんなこんなで、鼻の機能がしっかりしていないと発音ができません。

ハミングしてみよう

まずハミングをしてみましょう(鼻腔共鳴のトレーニングではありません)

【参考音源⑥ハミング】

Mmmmmmmmとやってみると鼻で鳴っているなと分かるかと思います。

あまり高い音を選ばず、相槌をうつ感覚でやってみましょう。

何度も言いますが、鼻腔共鳴の練習ではありません。

ナとマをゆっくり発音

次にナとマをゆっくり発音してみましょう。

【参考音源⑦ゆっくりじっくりナとマを発音してみたよ】

ナ行とマ行の子音の立ち上がりの前に「ん」が勝手に発音されるのが分かりますね。

どんなに素早く発音したとしても、この「ん」が発声されていない様に聴こえさせることは可能ですが、完全に消すことは不可能です。

歌の中では、このナ行とマ行を発音する際に確実になる「ん」を、少し強調してあげているに過ぎないのです。

入れ具合

もう入れるべき場所も分かった上にめっちゃ簡単じゃんと思った人もいますかね?

ここでは入れ具合を検証していきましょう。

どれくらい入れると丁度いいのか?はっきり「ん」と言ってしまっていいのか?など

何事も加減が大事です。

恒例の失敗例を2つほど上げました。

【参考音源⑧ナ行とマ行の前全部に「ん」を入れた結果】

きみがーおとーにーなああてく そのきせーつがー

なしーうたーであふれーれないよーにー

さいごーなーにかー きみいいにつたーえたーくてー

さーよなーらにーかわーるこーとばーをー 

ぼくはーさがしてたー

全部に入れりゃいいわけではないことが白昼にさらされました。

正直この歌詞の通り歌えていたかどうかは定かではありません。

無理やりねじ込むと言葉が本来の尺に収まらずに崩壊します。

なので、入れる隙間がない場合は、入れない方がいいです。

僕自身、こんな歌い方をしている方にはお会いしたことはありません。

しかし、どこに入れるかを感覚に落とし込めるまでは、全部に入れてみて変だったら少しずつ削っていくというのが、遠回りな様ですが、最初は一番いいかもしれません。

音楽的な話をすると16分音符の裏拍に入る傾向があります。「ん」単体で16分音符に入ることもありますし、前の発音と共に入ることもあります。さらに質の向上を目指す方には、リズムトレーニングをお勧めします。


【参考音源⑨入れるべきポイントには入ってはいるが、主張が強すぎる】

やっている最中に何でやってるのか分からなくなってきましたが。

「ん」はあくまでサポート役です。黒子です。

でも装飾品とも言えるんだよなー。派手すぎないやつ。

いずれにせよ、クセが強い、イカ2貫となってしまいますので避けましょう。

どんなアーティストが使っている?

ここまで2曲を使ってやってきましたが、どんなアーティストがこの技術を使っているんでしょうか?

この記事でも載せた優里さんはかなり使うタイプです。

僕が思う、「ん」を使っている方は

  • MISIA
  • ATSUSHI
  • 優里
  • AI
  • 宇多田ヒカル
  • 清水翔太
  • LiSA
  • etc.

やはり歌唱力を売りにしている人が多いかと思います。

個人差はありますが、上記のアーティストの方々もしっかりコンセプトを持って「ん」を使っていると思います。

こんな曲には合わないことが多い

上記のアーティストと真反対の歌い方をするアーティストの曲には合わない傾向があります。

  • 青春パンクロック
  • 平坦な歌が逆に映える曲
  • 入れる隙間もないくらい言葉が詰まった曲

上記のジャンルの曲を完コピされたい方には、あまりハマらないことが多いです。

まとめ

このナ行とマ行の前に「ん」を入れる技術は、知識を得るだけでも、歌い方はもちろん、曲の聴き方もかなり変わってくると思います。

「おっ、このアーティストはこんな感じで使うんだ!」

「逆にこの人は使わないんだ。」

「この人は曲によって使い方が違うな!」などなど

それまで意識もしていなかった音が聞こえてくる様になります。

平坦な歌だと言われて(若しくは自分で思っていて)悩んでいる人は、平坦な歌から脱却する第一歩を踏み始めてください。

しかし、この技術は歌をカッコよくする為の一つの要素なので、もう少し必要な他の技術もあります。

そちらも順次更新予定なので、少々お待ちいただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

しゅうぞう

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